2008年のアーカイブ


会長からのご挨拶

全国和牛登録協会のホームページにおいで頂き有り難うございます。

和牛は,いまや「Wagyu」とローマ字表記され国際的に通用する我が国が世界に誇る肉用品種の総称であります。和牛には黒毛和種,褐毛和種(熊本・高知系),無角和種,日本短角種の4品種が存在しますが,今日その頭数分布は黒毛和種が主体をなしており,私たち全国和牛登録協会は黒毛和種,無角和種,褐毛和種(高知系)の登録事業を通じて,和牛の育種改良を推進する8万人の会員を擁する協会であります。全国和牛登録協会は今年設立60周年の記念すべき節目を迎えましたが,その活動方針は一貫して「主体性を確立して,自主的に運営する」にあり,「和牛の改良は会員である生産者の意欲によって行われ,同士的結合体が主体性を確立して,自主的に運営しなければ成功しない。」をモットーにしております。

馬や牛などの経済動物は風土の産物であり,その消長は社会や経済情勢など時代の変遷に加えて,地域の需要と環境によって大きく変化してきました。家畜は文化の所産といわれる由縁であります。我が国が育て,今日もなお国産の畜産物生産を担う実用家畜として活躍する品種は和牛においてありません。和牛はその名前が示すとおり我が国固有の家畜ではありますが,現在のように世界的に有名な牛肉ブランドを生産する品種に至る道のりは平坦なものではありませんでした。和牛という名称すら明治維新後の西欧化のなかで,ヨーロッパから輸入されてきた乳肉兼用に育種改良されたいわゆる洋牛(洋種)との競争のなかで命名されたと言われています。
育種改良は世界的な規模で展開され,極めて厳しい競争に曝されており,競争に敗れた品種は消滅する運命にあり,諸外国の供給する品種(遺伝子)には莫大なロイヤリティーを要求されます。私たちが毎日消費する豚肉,ミルク,卵などの国産の畜産物の生産を担っている家畜のほとんどが明治以降に欧米から輸入された品種(遺伝子)に依存しており,和牛のみが現在も活躍する我が国固有の家畜と賞される由縁であります。その生い立ちは地域の風土に根ざした農耕や運搬,肥料生産を主たる用途とする「農業経営の為の農用牛」から世界的に優秀な肉質を誇る肉用種へと100年あまりの間に大変身をとげました。
その育種改良の基盤を築いたのが,選択登録という全国一律の基準により誕生する総ての牛を評価し,一定の水準を超えた個体を種牛(繁殖に供用する雄牛や雌牛)として登録する制度であり,その制度により血統の正しさを保証することができ,親から子へ伝わる有用な能力の遺伝現象を確実に把握・確認する様々な育種改良事業により和牛の経済形質の遺伝的改良を推進しております。

昨今の経済活動や情報の国際化の流れのなかで,燃料や食料などの高騰,食糧自給率の低下,BSEの発生や食品表示の偽装に端を発する食の安全・安心への消費者意識の高揚など,食を巡る話題にこと欠きません。家畜は時代の要求に見合った能力を備えることが必須であります。和牛は,その美味しさでは世界に冠たる品種ではありますが,資源を巡る世界的状況を先取りして,将来ともに我が国が世界に誇れる和牛として持続的な肉牛生産を担うためには,草食動物としての特性を発揮して地域の草資源を最大限活用し,家畜の本源的な能力である子牛の生産効率を高めていくことが重要になってくることは間違いないでしょう。
このホームページが和牛に関係する技術者の情報交換の場になり,また和牛の育種改良活動や生産者の熱意が和牛を愛してくださる消費者に届けられるようなサイトになればと願っております。

平成20年9月1日
社団法人 全国和牛登録協会 会長   向井 文雄

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